みずたま色の空

こどもやごはんや日々のこと。

SLE&APS患者の妊娠②

紹介状を持って総合病院に移った私。紹介状の封筒は分厚くて、これまでの私の検査結果や、私の症状を説明した手紙が入っていた。
出来るだけ早く総合病院にかかることが出来るようにと主治医が予約を入れてくれていた。

総合病院にかかるのは久しぶりだったが、やっぱりものすごい混み方でものすごーーーく待つ。私の場合は産婦人科膠原病科にかかるから待ち時間も2倍。総合病院なので血液検査や尿検査も検査科で受けることになり、そこでも待つのでもう半日かかり。朝9時の予約で終わるのは13時過ぎなんて当たり前だった。

産婦人科は、最初の何週かまでは婦人科で健診を受け、ある程度の週数になると産婦人科にねるというシステムの病院だった。婦人科といっても私の場合は病気と合わせてみるせいか、最初から産婦人科の先生がついてくれた。
診察室に入ると若々しい先生がいて、正直「この人研修医なのでは…。私のことちゃんと診られるのだろうか…」と不安になった。後からわかったのだが先生は30代後半の十分経験を積まれた方でした。すみません…。

初回の診察は内診だったような気がするがあまり覚えていない。
内診室から診察室に戻り、これからの話を聞く。通常3ヶ月頃は1ヶ月に1回の診察だが、私は最初から2週間に1回の診察になった。膠原病科の方は1ヶ月に1回。毎回産婦人科に行ってから膠原病科に行くことになった。

後日日を改めて産婦人科の先生から呼び出しがかかった。夫と2人できて欲しいという。
「母子ともに非常にリスクの高い妊娠ですので、きちんとご説明させてください。おひとりで聞くのは辛い内容になると思いますからご主人にも同席してもらえませんか?」
とのこと。
平日の午後、外来の終わった人気の少ない病院に行った。先生は忙しい中時間を作ってくれて1時間以上かけて説明してくれた。

話の内容を簡単に書くと、
・妊婦は血栓が出来やすくなるが、元々血栓が出来やすい症状で薬を飲んでいる私はリスクが高い。検査結果によっては毎日病院に注射を受けに通ってもらうか、自己注射してもらうことになる。
・妊婦全員にあるリスク(胎盤剥離など)のリスクも一般の妊婦より高く、薬の影響で血が止まりにくい私がそうなった場合は子宮全摘出になる可能性があり、大量出血による死亡例もある。
・私の病気が胎児の心臓に深刻な障害を起こすことがあり、その場合胎児が無事に産まれる率は低く、産まれたとしても生存する率はかなり低い。
…などなどだった。
これ以上詳細に書くとかなり重いのでこれくらいに留めておく。

A42枚に渡って細かく書かれた各種リスクはざっくり言うと
「母子ともに命の危険が高い妊娠出産になるので覚悟しておいてください」
ということだった。
そして、
「妊娠継続を希望するか決めてください」
ということだった。

私は自分が病気になった時点で1度そういう覚悟をしたのでそんなに驚かなかったが、おそらく夫は驚いたし怖かったことだろう。妻とお腹の子が両方とも命の危険があると宣告されたわけだから。夫の表情は険しかった。

私もまさかそこまで危険だとは思っていなかったので、予想以上のリスクの高さに驚いたのは確かだった。先生は考えうる最悪の事態を説明してくれただけで、確率がとても高いというわけではないとしても。それでも十分怖い話だった。
子供への影響の部分が私は1番怖かったけど、こんな私のところにやってきてくれたのだから産むのだろうと思った。産むために来てくれたのだろうと。
その子に障害があっても、それが子供と私達の運命ならそれでいいかと思った。

妊娠の継続に迷いはなく、夫も同じ気持ちでいてくれた。
もし何かあっても、それは受け入れるしかない。
何もないことを祈って祈って、私達は妊娠継続を希望した。