みずたま色の空

こどもやごはんや日々のこと。

うすくち醤油を探して

今夜はおでんにする。
昨日からそう決めていたし、今朝のうちに大根の下煮も済ませて来た。
こんにゃく、結び昆布、各種練り物、がんもも冷蔵庫にスタンバイ済み。
つみれは鶏肉で作ろうかと考え中で、大和芋とごぼうと鶏肉角切りを用意してある。


しかしながら、うすくち醤油が我が家にはない。せっかく準備して、大きな鍋にたっぷり作りたいと思っているのに、濃口醤油で仕上げるなんてどうにも納得がいかない。

そう思って、仕事上がりに駅周辺のお店に立ち寄った。
うすくち醤油はそう珍しい調味料ではない。当然醤油を置いている店なら横に並んでいることだろう。


電車が出るまで30分。
うすくち醤油購入のミッションを遂げるにはあまりある時間だと考えた。


駅ビルに醤油や味噌をずらっと並べたお土産屋があることを思い出し、そこに足早に向かった。大容量でなくて構わないから、蔵元が作る美味しい醤油が欲しいと考えた為だ。
お土産屋には以前見た通り、見事にずらっと醤油の小瓶が並んでいた。150ccサイズがお土産として一般的な様子。基本の濃口をはじめ、健康志向の方向けの減塩醤油、出汁入り醤油、たまり醤油に卵かけご飯専用醤油。期待通りの豊富なラインナップだ。
もちろんうすくち醤油もあった。製造元か販売元ごとに並べられていて、4種類ほどある。違いは何だろう?と思って原材料ラベルを見て驚いた。

砂糖
アルコール
アミノ酸調味液
その他添加物もろもろ……


あれ?醤油ってこんなに添加物が必要なものだったの?

アルコールは品質保持用だと思うが、砂糖やアミノ酸調味液は味付けですよね。発酵の餌かもしれないけど。


蔵元の名前がわかったり、作っている土地がわかるから安心だと思っていたのでびっくりして、4種類全部を見たけれどほぼ同じ表記なことにまたびっくりして、結局買えずに棚に戻した。

安心って、何が?とも思うのだけれど、もちっとシンプルに作られた醤油もあるんじゃないのか⁈という気持ちがムクムクと湧いてしまって買えなかった。
きっと美味しいのだろうけれど、今日の私が欲しいものとはちと違う。


そうだ!
なにやらこだわりの食材を置いているスーパーぽいところも駅ビルにあったはず!そこならきっと!
そう思って向かってみたが、そこには更に小瓶の100ccサイズになった出し醤油や牡蠣醤油があるばかりだった。


時間は刻々と過ぎていく…。


ハッ!そういえば和風食材やお菓子を取り揃えた専門店があった!あそこならついに!
小走りでその店に入り、
「しょうゆ…しょうゆ…」
と呟きながら棚を探す。
あった!卵かけご飯専用醤油!出し醤油も!なんと、いしるまで!
期待に胸高らせて下段に視線を走らせると、そこにはこだわりの………

濃口醤油のみが!

数種類の、濃口醤油のみが!!


いしるより、うすくち醤油の方が需要あるでしょう。
なぜ……なぜなの………。


電車まで残り15分。


こうなったら、駅ビルは諦めて、デパ地下に行くしかない!
(最初からデパ地下に行かなかったのは、お土産屋の醤油の方が地元の美味しい醤油があるかもと思ったから)


何かに追われるように小走りで移動を始めた私の目に入ったのは、

無印良品


今なら無印良品週間だから会員は10%オフ!

もしかして醤油もあるかも?

(あるわけない)

ここまでの3店が期待はずれ過ぎて判断力の鈍った私はなぜか無印良品に入り、レトルトカレーが並ぶ棚を見て、

「ない、ないよ…あるわけないよ…」

と呟いた。


なぜ無印良品は調味料を取り扱わないのか。
それとも大型店ならあるのか。
統一したコンセプトで作る対象に含まれてもおかしくはなかろう。
以前どこかで見た気がするけれど、ひょっとしてfound MUJIだったか?


考えながらも足は動く。
いつしかデパ地下に辿り着き、醤油の棚にずらりと並ぶこだわりの醤油達を惚れ惚れと眺め、そしてこのうすくち醤油に出合った。


一目惚れだ。
原材料を見ると、
大豆・小麦・塩・米
しか使われていない。材料は有機で遺伝子組み換えでないそうだ。


やっと、望むうすくち醤油さんに出合えた。
これで今夜のおでんが完成する。
脳内ではすでに出来上がったも同然だ。


これから家に買って、くつくつと煮て、鶏団子を作る。その仕上げに、一目惚れのうすくち醤油。

なんとも美味しそうだけれども、それを今夜の食卓に間に合わせられる気がしない。