みずたま色の空

こどもやごはんや日々のこと。

資格講座の仲間たち①

3年ほど前、仕事上必要になるからと通った資格講座がある。それまでその資格の存在さえも知らなかったけれど、通い始めてすぐに「これは自分に必要な知識と経験になる」と思えた。そして実際その知識と経験はその後の私の人生でとても役立っている。

それはカウンセラーの資格取得講座で、半年ほど講座に通い、その後自分で資格試験を受けて合格すれば晴れて資格取得となるものだった。講座は丸一日講義や実技がある。受講生は10代後半から60代まで幅広くいて、10数名ごとのグループに分けられていた。
カウンセラーという資格の性質上実技が半分かそれ以上ある。受講生同士でカウンセリングをしあう実技でこれが非常にしんどい。カウンセリングなんて初めてという私みたいな初心者から、仕事でカウンセリングしているがちゃんと勉強したくて来たという経験者まで様々で、話を聞くのではなくカウンセリングするということの意味を理解するまでにも四苦八苦、わかったところで出来なくて四苦八苦、なんだか理解が間違ってるようで四苦八苦だった。

カウンセリング実技はマンツーマンで行うが、その周りにぐるりとグループメンバーが座っていて、その後ろには講師の先生が座っていた。最初はそれが気になるけれど、しっかり聴かねばと思うと周りなんてどうでもよくなる。実践せねばという課題あれこれを頭の中でモヤモヤさせつつ、目の前の相談者が語る話を聞き漏らさないようにして、その中で重要な点を拾い出したりつなぎ合わせたりする。メモは取れないので、ひたすら聴くしかない。聴くと同時に自分の中で処理して相手にわかりやすい形に変え応答していく。
書くと簡単そうだがとても難しい。
どんどん進む話を聞き漏らさずに正確に内容を把握するだけでもものすごく集中力が必要で、瞬時にそれを分解分析して応答していく作業を行う集中力も必要で、とにかく集中力が必要だった。
1日の実技が終わるともうみんなグッタリ。頭も心も、体までずっしりと重くなっている。体を引きずるようにして帰る日々だった。
本当に集中して人の話を聞くということはものすごく疲れることだと毎回身に染みて感じた。聴く側は全身で聴くから、全身が耳だし脳だし心だった。

私のグループは20代から60近くまでの男女で構成されていて、住まいもバラバラ、職業もバラバラ、普段の生活ではまず知り合いにならないだろう人達だった。しかしこれが不思議なもので、講座が終わってもう3年か4年経つというのに今でも年に数回集まる仲になったのである。カウンセリング講座という特殊な資格講座を共に過ごした仲間たちは、年代も性別も環境も関係なく、また会おうと言い合える間になれたのだった。