みずたま色の空

こどもやごはんや日々のこと。

のぼせ注意

先週半ばから週末まで忙しく過ごしていた夫の為に、昨夜は温泉に行くことにした。ゆっくり入ってもらうなら娘は私が入れた方がいいし、娘とお風呂に入りたいなら夫が入れるというのがいつものパターン。昨日は夫が入れることになった。5:1くらいの比率で夫が入れてくれるんだけど。

いつも行く温泉は内湯が3つと外湯が3つ。温度は41〜42度と私にとっては高め。

体を洗って入浴するが、昨晩は体を洗っている間寒くて寒くて、早くお風呂に入りたかった。

やっとお湯に浸かるといつも通り熱い。いきなり肩まで入れないので腰まで入り数分。肩まで入り2分ほど。

他の湯船に行こうと思って立ち上がったら、ふわりと体が揺れた気がした。


のぼせないように入るのはいつも外湯だ。お湯の温度はそう低くないのだが、外気にあたるとひんやりと熱さがちょうどよくてゆっくり入れる。昨晩は外気が10度以下だったので、40度を超えるお湯に腰まで入りながら上半身はひんやりをまとっていた。

そのお湯に5分ほど入って、立ち上がって洗い場に戻る。この時点で目の前が半分くらい白くなったり戻ったりを繰り返している。

あ、今日はのぼせやすいな、気をつけなくちゃと思う。


目の前の白っぽさがなくなったので、冷えてしまった体を少し温めに内湯に入る。ほんの30秒ほど。

立ち上がったら、また白が半分くらいやってきて、フラフラしながら洗い場の椅子に座った。


ぬるめのお湯で髪や顔を洗っているうちにすっかり回復し、温度の低いお湯に入りに行く。そのお湯は入っていても温まる感覚がしないくらいぬるめ。りんごがいくつも浮いていた。

5分ほど入ったが温まらないので、最後に1分熱めのお湯に浸かって出ようとした。

1.2.3.…と数え、40のところで「これ以上はまずい」と感じて出る。 ぬるめのシャワーを浴びながらフラフラする体をなんとか冷まそうとするが冷めず、脱衣所の風に当たろうと、司会の半分以上が白くなって行くのを感じながらやっとの思いで脱衣所へ。
浴室から出てすぐのところにある給水機で冷たい水を飲んだ。


浴室目の前のロッカーに荷物を入れたのに、もうどうやってもそこまで行けない。せいぜいあと3歩しか歩けないし、立つことも出来そうにない。

一番近くの、ドライヤーが並ぶ鏡の前にある椅子に裸のまま腰掛けて、周りの人に悟られないように、さりげなく体を拭く。気持ち悪くて吐き気がグングン上ってくる。体を拭きたいけれど腕が思うようには動かない。そもそも思うようになんて言えるほど頭が働かない。

ひたすら思っていたのは、

「ここで倒れたら素っ裸のまま寝かされる。娘を連れてこなくて良かった。倒れたら娘と夫を待たせてしまう。誰かに悟られたら声をかけられてしまう。今口を開いたら吐く。誰かと話すのは無理だ。誰にも悟られずにここを出るぞ。猛烈に気持ち悪いけどピークを過ぎるのを待つだけだ。今すぐトイレで吐きたいけど、トイレで倒れそう。あの床で素っ裸で倒れるのは嫌。和式だし。もう絶対無理。うわー気持ち悪い。だけどこの後夕食を食べて行くことになってんだから、食べられるくらい回復しなくちゃ。そうだ、食べ物のことを考えよう。食欲がわくように。…いや、無理。食欲とかいうレベルじゃない。入れるんじゃなくて出したいし今。とにかく動かずにやり過ごすしかない。早くピークよ過ぎて」

だった。


タオルで拭いて誤魔化すのも無理があったので、目の前にあったドライヤーで冷風を出しながら髪を乾かしつつ(乾かないけど)体を冷やした。

しばらくすると、ピークを超えた。

あ、超えた!ピーク超えた!

とすぐにわかった。視界が徐々にクリアになってきて、椅子から転げ落ちて倒れそうだった体が少しシャンとした。

ドライヤーを低めの温風にして髪を乾かした。体はすっかり冷えている。

やっと体が動いて、ロッカーに辿り着けた。さっきあれほど体を拭いたと思ったのに、そのまま服を着たらあちこち体に貼りついた。何度も手は動かしたはずだけれど拭けてはいなかったらしい。

荷物を持つ時に、両手が痺れていることに気がついた。じんじんする手にバッグを下げて鏡の前に立つ。乾かしたはずの髪も半分濡れたままでボサボサ。手ぐしで髪を整えたが、もう一度ドライヤーを手にする気にはなれなかった。

時計を見ると、浴室を出る時にチラッと見た時間から15分が過ぎていた。

鏡の中にはお風呂上がりだというのに血の気のない青白い顔をした私がいた。



(お風呂でののぼせ注意ですよ!のぼせやすい人は特に!ほんとに辛い時は水も飲めないしね)

(私は過去にスーパー銭湯の洗い場で仰向け大の字で気絶したことがあるので、今回は倒れないようにと必死だったんだよ)