みずたま色の空

こどもやごはんや日々のこと。

安定期のない妊娠

久しぶりに妊娠記録を書いてみる。もう2年以上前のことだから記憶は薄れるばかりだ。
以前も書いたけど、私はSLEという病気を持っているのでちょっと厄介な妊娠だったわけなのだが、よく世間でいう「安定期」がなかったことを覚えている。


担当医は慎重で若く見えるのかっこいい男性で、かわいい顔でかっこいいから厳しいことを言われても私にはそんなにキツく聞こえなかったのだけど、他の妊婦さんの中には怖がったり厳しくて嫌だという人もいたようだ。誠実で慎重な人だったから、大事なことはきちんと伝えてくれる。問題があれば問題だとハッキリ言ってくれるし、母体と胎児の安全無事を最優先していることが伝わる先生だった。

職場や知人・友人から、
「5ヶ月に入れば安定期だから安心だよ」
と良く言われていたのだが、私は担当医から
「あなたに安定期はありません。母子ともに何か起こる可能性は一般の方よりも高いので、安定期はないと思って過ごしてください」
と何度も言われていた。
周りは良かれと思って
「5ヶ月に入ったからもう安心だね」
と声をかけてくれる。職場でも安定期に入ったのだからもう問題ないという雰囲気だった。
上司にだけはリスクが高いことを簡単に説明してあったけれど、楽観的な上司なので「まぁ大丈夫でしょ」という反応だった。奥さんが子供を2人産んでるけど何もなかったよと。

夫と、自分の親と、近しい友達だけに
「安定期ないんだってさ」
と伝えていたけれど、他の人には
「もう安定期だからいいね」
と言われれば、笑顔で応えていた。


安定期だって、胎盤が安定することを言うようだけど、何も起こらないわけじゃない。それはみんな一緒。
ただ一般の妊婦健診が月1なのに対して、私は最初からずっと月2だったから、先生と話せる機会が多くて良かったし、エコー写真も沢山もらえて嬉しかった。同じ頃に妊娠していた友達は月1の検診に
「次まで1ヶ月もあるからその間ちゃんと育ってるのか心配で」
と言っていて、そりゃそうだよなぁと思った。胎動を感じるまでは本当に育っているのか心配で心配で仕方ない。隔週でエコーを見せてもらえた私はラッキーだった。

つわりも2日間くらいしかなくて(二日酔いみたいな気持ち悪さだけ)、食の好みも変わらず、血糖値が上がることも血圧が上がることもなく順調に妊娠期間を過ごせたから、やっぱり私はラッキーだった。先生方が薬のコントロールをしてくれたおかげもあるだろう。

安定期はないと言われたけれど、それを聞いて油断出来ないこともわかったから良かった。
その割に油断して、
「先生、新婚旅行行ってないので飛行機で国内旅行に行きたいのですが…」
なんて言ったものだから、先生はものすごい真顔で
「飛行機なんて乗ったら死にますよ」
と言った。
自分の状況をわかってないと言いたかったのだと伝わったけど、まさか死ぬとは思ってなかったので、本当すみません…と縮こまった私。油断しまくりである。

それからしばらくして、
「飛行機はやめました。静岡の夫の実家に今度行く予定があるのですが…」
なんて私が言うから、先生はまた真顔で
「それ、どうしても行かないといけないんですか?命をかけて行くものですか?」
と答えた。
先生は真面目で誠実で慎重だった。私はそんな先生に担当してもらえて本当に良かったと思う。
油断しまくりだったから、これくらい言ってもらわないとね……。



最近の娘はお風呂に入る前、自分の着替えと保湿剤を用意していつも着替える場所に置き、更に親のパジャマもせっせと運んできてくれる。
着替え始めると
「おかーしゃん おずぼん どうじょ」
と言って渡してくれる。

お風呂の中では、私の背中や足もせっせと洗ってくれる。もちろんシャワーで流してもくれる。
優しい子で嬉しいなぁ。
2歳2ヶ月でこんなに親の面倒をみてくれるようになるとは驚きだ。

切迫早産で入院中に編んだケープ。最近になって喜んでつけてくれるようになった。お姫様気分らしい。