みずたま色の空

こどもやごはんや日々のこと。

資格講座の仲間たち②

カウンセリングの資格講座に通学していた3・4年前、睡魔と戦う座学よりもずっときつかったのはカウンセリング実技だった。

実技は話す人と聴く人、マンツーマンで行う。どちらも受講生がその役をやる。
そして、向き合って座る2人の周りを他の受講生がぐるりと囲み、その後ろから講師の先生が見ていた。
講座の受講生は4つのグループに分かれていて、各グループ1部屋が割り当てられていた。
初めて会うグループメンバーと静かな部屋の中でカウンセリング実技をする。これはかなり特殊な経験だったと思う。

話す人は自分の生活から本当に思っていることを話す。困っていることでも、悩んでいることでも、気になっていることでもなんでもいい。些細なことでいいのよと先生は言ったけれど、私のグループはみんな本気の相談をした。
別グループにいた友達によるとそちらでは当たり障りない些細な話が多かったそうなので、グループごとで雰囲気はかなり違ったようだ。

私のグループではみんな本気の、自分の生活にある問題や、悩みを少しづつ話していった。聴く側は必死だし、時間は15分か10分と短いので本当に大切なところまではいけない。話すことがないという人ももちろんいたし、話したいことがたくさんある人もいた。
そんな実技を半年も続けていると、話すことはないと言っていた人たちも何かを話し出す。気がつくとみんな、自分の中にずっと抱えていて誰にも言えなかったことや、ずっと消化出来ずに胸の奥にしまい込んでいた話をポツリポツリとするようになっていた。短時間の実技だけど、泣きながら話すこともよくあった。この話は途中で終わらせられないと先生が判断すれば、話す人はそのままに聴く人だけ入れ替わって、話の続きを聞くこともあった。

仕事で必要だからと受けに行った資格取得講座で出会ったグループメンバーとは、いつの間にか色々な話を出来る仲になっていた。みんな信頼し合っているし、しっかり話を聞いてくれるとがわかっているから話しやすい。立場も年齢もバラバラなことが功を奏して、思わぬアドバイスや知識が飛び交った。

私のいたグループは座学中に質問で手をあげることも多かった。
「質問ありますか?」
の声に手を挙げた人を見ると、全員同じグループだったなんてことも何度もある。
面白くて意欲的で優しい人たちの集まりだった。

先月そのグループ新年会があった。
メンバーの数人は県外からやってくるし、県内でも片道2時間くらいかかるところから来る人もいる。それでも集まろうと声を掛け合うつながりになっている。
妊娠出産でしばらく顔を出していなかった私にも毎回連絡をくれて、2年ぶりくらいに今年の新年会に参加してきた。みなさんお変わりなく、優しい表情でホッとした。
カウンセリングを仕事にしている人、資格はとっても主婦として介護で忙しく過ごしている人、会社内のメンタルヘルス担当をしている人、色々な立場の人がいる。いつも何か刺激を受けて帰ってくる、大切な繋がりだなと再認識できた。

お互いに実技練習しあうというカウンセリングならではの特殊な状況で、みんなが自分の本当の悩みを話せたことが今に繋がっているのだと思う。実際こんな風に講座終了後何年経っても集まるのは珍しいらしい。
思わぬところで思わぬ出会いがあった資格取得講座。通学制だったからこその出会いだった。